果たしてどれだけライターが居たのかわからないライター向けの講演会に行ってきた話

登壇者の松井悠さんが講演の冒頭で、現役ライターの方に挙手を求めたとき、手を挙げたのは参加者のうちのほんの1,2割程度だった。果たしてそれが本当なのか、ただライターであることを隠して参加していた方が大勢いたのかは定かではないが、私のようにesportsに興味があって参加したライター以外の方が大多数を占めていた気がする。

講演会は2部構成で、前述の松井さんと、スマブラのトッププレイヤーであるabadangoさんが壇上に立ち、『eスポーツの取材に行ってこいと言われたら』、『選手とメディアのあるべき関係』という題で講演をおこなった。

本記事では、私がそれぞれ大事だと感じた部分を簡単に紹介したい。もちろん、ライターとして大事だと感じた部分ではなく、esports好きとしての大事な部分を。

 

『eスポーツの取材に行ってこいと言われたら』

登壇者の松井さんは、デザインやWEB制作をはじめとして、ゲームイベント企画運営なども手掛けている株式会社グルーブシンクの代表である。要するにすごい人だ。そんな松井さんが放った一言が衝撃的だった。

 

「自分、ライターあがりなんですよね。」

 

そう言って映したスライドには、ライター約22年、編集者約20年と書いてあった。この時点で私は、松井さんが頭のおかしい人なんだと確信した。もちろんいい意味で。イベントを回せて、文章が書けて、なんでそんな人がこの業界に首突っ込んでるんだと思った。そんなにこの業界は稼げるのか、と。

答えがYESかNOかは分からないが、ゲームが好きだからやってるんだなっていうのは伝わった。

 

esportsと言えばesports。ゲームといえばゲーム。

esportsに明るくないライターの方がつまづくであろう、取材先の大会が“esports大会”なのか“ゲーム大会”なのかって部分について、松井さんが疑問を一蹴してた。

 

「主催者がesportsって言えばesportsだし、ゲームって言えばゲームじゃん。」

 

本当にこれである。私もずっと思っていたけれど、正直どっちでもいい。選手はそのゲームタイトルが好きでプレイしてるし、観客もそのゲームタイトルが好きだったり、選手を応援したりって理由で観戦してるし。

ゲームが好きだからこの業界に携わっているんだなと思った理由は主にここである。松井さん本人もプレイヤーとして相当な実力者だったようだし、相当なゲーム好きなんだろう。匂いで分かる。

 

現地取材のポイントは選手へのリスペクト

松井さんは講演中ずっと、「選手」へのリスペクトを忘れないことの重要性を強調していた。試合中に選手に向かってフラッシュ撮影をするなんてもっての外。選手の名前を大文字小文字までしっかりと正式名称で記載するとか。

この点に関しては、実際に数多くの大会に出場して取材を受けた経験もあるabadangoさんがさらに詳しく触れていたのでそちらで紹介する。

 

今回の話をまとめると、esportsの取材に行ってこいと言われた時は、選手へのリスペクトを忘れずに、アーカイブ動画やツイッターでは伝えきれない会場の様子を表現しておけば問題なさそうだ。

 

『選手とメディアのあるべき関係』

次に登壇したabadangoさんは、スマブラ4のトッププレイヤー。日本ランクは最高で3位、世界でも最高5位と非常に優秀な成績を収めている。選手活動とは別に、様々なゲームタイトルをプレイして動画を投稿して、ゲームコミュニティの発展にも尽力している熱心なプレイヤーだ。

そんなabadangoさんが講演で話していたメディアに向けての内容は、私自身もプレイヤーだからか、共感できる部分が多かった。こちらも一部紹介する。

 

選手ごとのストーリー性とスター選手

abadangoさんは、面白い記事を書くにあたって、選手ごとのストーリーを大切にすることは大事であると言った。というか、そういう記事だとabadangoさん自身も楽しく読めるのだと思う。

ライターとして追っている選手が、次に対戦する相手と過去の大会でどんな因縁があったのか、どういったプレイを得意としているのか、といった基本的な情報はもちろん、対戦相手を倒すためにしてきた特訓内容や以前やっていたスポーツが活きた経験など、大会当日だけではなくその前後も大事にしてほしい、ということだ。

そして、そうしたストーリー性は読者にも感動を生み、スター選手に成長する。スター選手になれば、その選手のファンが増え、プレイしているゲームにも興味を持つ人が増えて盛り上がっていくのでは、とabadangoさんは語った。

 

選手やゲームへのリスペクト

どこかで同じような話を聞いたなぁと思いながら聞いていたが、なんたってさっき松井さんが話していた内容である。忘れっぽい私でもすぐにわかった。

選手目線だと、インタビューの時に明らかにゲームタイトルや選手を馬鹿にしているようなライターは雰囲気でわかるらしい。そりゃそうだ。

もう1つはゲームタイトルを一度は触ってほしい、ということ。面白いと感じたことのないゲームを、ましてやプレイをしたことがないゲームを面白く伝えるということは、限りなく不可能に近いのでは、と疑問を呈した。

 

まとめ

こうして松井さんとabadangoさんの両名とも、最終的に選手ファーストの考え方の重要性を伝えて講演は終了した。以下の3つの点を守れば、まずはスタート地点と言ったところか。

  • esportsかゲームかなんてどっちでもいい
  • 選手ごとのストーリー性を大事にしてスター選手に仕立て上げる
  • 選手やゲームへのリスペクトは忘れない

もちろん講演ではこれ以外にも多くの目からうろこ情報が語られていたので、気になる方は続々と出てくる(であろう)メディアのレポートを参照にしてほしい。

ちなみにこの記事を書くに至ったのは、松井さんの3枚目のスライドの威圧に負けたからである。